今日もよい日

ストレスのお薬としてのヨガ。お医者さんたちも、ヨガと瞑想に注目しています。

広島でお勉強してきました① <岡村 仁先生>

 

 

今年の学会のタイトルは「呼吸と意識とヨーガ療法」。

 

さまざまな先生方のお話を伺うことができました。

 

板書王の私も追いつけないスピードで、スライドが展開されていきましたが、がんばってメモを取りました。

 

抜けもありますが、備忘録として残しておきたいと思います。

 

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講演タイトル:「こころのケアとヨーガ療法」

岡村先生は国立がんセンターで患者の心のケアに当たってこられた先生です。現在は広島大学で、がんだけでなく、高齢者、精神疾患へのリハビリテーションの研究をなさっているのだそうです。

講演の中で何度も「私はヨガの専門家ではありませんので(^_^;) 」とおっしゃっていましたが、心のケアにヨガがどう役立つかについては、ずっとご興味があったそうです。今回、大会長を引き受け、講演するに当たって、さまざまな疾病とヨーガ療法に関する、世界中の論文を調べた考察をお話ししてくださいました。

 

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海外でのメタアナリシス(メタ分析)論文を調べた

 

※メタアナリシスとは

統計的手法を用いてランダム化比較試験(RCT)など複数の原著論文のデータを定量的に結合させる総説論文

 

2010年以降に発表された論文を「ヨーガ療法」で検索すると3400件あまりの論文がヒット。(ちなみに古いものがいつか調べると最古の論文はドイツで書かれた1948年の論文だそう)

その中でメタ分析されたものは10つしかなかった。

 

 

 

1.精神疾患

 

 ・妊娠中のうつ病(6件)

抑うつの軽減は期待できるが、ほとんどの研究は予備的。軽度のうつ病のみを対象としている。今後、大きな規模でのランダム化比較試験が必要

 

・不安(17件)

不安軽減の効果は期待できる。他の治療と比較するには良質なデザインでの研究が必要

 

・さまざまな精神疾患(13件)

ヨガは有効な補完代替医療であるが、質の高い研究が必要。

 

統合失調症

件数が少ない、フォローアップ期間が短い、研究の質も十分ではないなどの理由から、ヨガの効果は明らかではない。

 

 

2.身体疾患

 

・がん(23件)

乳がんの患者にヨガを用いることが多い。睡眠障害の改善、抑うつ、不安の軽減に対する支持的介入として、ヨガは推奨できる。

 

 

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<ここで先生が専門とされる サイコオンコロジーのお話>

※サイコオンコロジーとは

精神腫瘍学。がんとこころの関係を、さまざまな学問を駆使して、人間的側面を見る分野。

 

悪い知らせに対する心の反応

ショックから、衝撃、避妊、絶望、怒りなどが生まれるが、2週間~3か月続くと元に戻る。しかし、がん患者の場合、完全に戻ることはない。

不快を感じたときにどう対応するかが重要。対応の仕方で、治療の継続だけでなく、QOLの向上や生存率が変化してくから。

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HIV/AIDS(7件)

ストレスマネジメントとして期待できる介入法。研究の数が少ないのでさらに研究が必要。

 

心筋梗塞や脳疾患、慢性閉塞性肺疾患(10件)

ヨガにより、運動能力やQOLの改善は認められた。抑うつや不安の軽減については明らかではない。

 

・健常成人(11件)

介入なし群に比べて、精神的健康の向上に寄与するが、研究数が少なく、介入法の不均一さなどから確かな結論は得られない(2016年)。

 

・高齢者(12件)

精神的健康の向上が期待できるが、さらなる研究が必要。

 

・閉経期/閉経後の女性(6件)

有効なアプローチ法。抑うつ、不安、睡眠障害の改善によい。(2017年)

 

・囚人の精神的健康

抑うつ、不安、罪責感の軽減に効果あり。(2017年)

 

・病院職員にヨガ

①週に3日継続した群と、②非継続群で比較すると、①のGHQテスト(非気質性、非精神病性の精神障害のスクリーニングテスト)結果の数値がよくなった。

 

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講演の最後に岡村先生は

 

「世界でも、ヨガの症例報告はエビデンスレベルで言うと、下から2番目の [Ⅴ:記述研究] のレベルのものが多い。この学会でも症例報告がなされていますが、実は外部からの信用度が低い。評価方法(質、量)をちゃんとすることが大事なので、今後も頑張ってください。」

とおっしゃっていました。

 

『まだまだ』と思う人もいるかもしれませんが、私は『ヨガの持つ力を、学者さんたちがこれから科学的に検証していくのだろう』と思うとワクワクします。

 

ヨガの持つチカラを実感していただけるように、私もコツコツと、クラスでがんばっていきたいと思います(^_^)