関西大学の堺キャンパスにお邪魔しました。
とっても綺麗な学校でした(^_^)
ワークショップ「各種瞑想法の違いについて」鎌田 穣先生
鎌田先生からはいつもいろいろ教えていただいています。
臨床心理士として病院にお勤めの先生で、大学の先生だったり大阪府警からの依頼でお仕事をされたり。
そして自称 [瞑想マニア] (笑)。ヨガも長年実践されています。
マニアックな先生からピンポイントで瞑想について伺える機会だったのでワクワクして参加しました。
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「何のために瞑想をしていますか?」
先生はまずみんなにこう問いかけました。
集中するため、雑念を払うため、騒がしい頭を鎮めるため、本来の自分に戻るため、リラックスのため、
などの答えが出てきました。
最近では創造性開発や作業効率向上のために瞑想を取り入れている企業がありますが、それらはすべて瞑想によって集中力が上がる結果なのだそうです。
そして先生はズバリ「瞑想は解脱のための方法です」と。
ヨガしてない人が聞いたら「えっ(^_^;) 」と思ったと思います(笑)
解脱のためにはヨガの八支則を学び、実践する必要があるともおっしゃっていました。
催眠と瞑想の違い
催眠
情報の遮断が行われている。トランス状態
瞑想
ヴィパッサナー瞑想(観察瞑想)では意識化の拡大が行われ、全てが見えるようになってくる(オープンモニタリング)。大事なことは過去や未来に意識を向けている状態から、現実に意識的に戻すようにすること。
それによって集中力が高まり、さまざまな恩恵がやってくる。(過去も未来も人のコントロールできる範疇から外れているものであると気付く。)
集中力を高めるには、
①1つのところに意識を向ける練習(サマタ瞑想、止観)をする。
②すべて見えるようになるヴィパッサナー瞑想(観察瞑想)をする。
③ディヤーナ:意味づけの点検をして認知の修正を目指す(※補足:私が瞑想のクラスでしているお題瞑想がこれに当たります)。
これらをすることで集中力が高まるだけでなく、結果としてリラックスにもつながる。自律訓練法の感覚。
瞑想21選
鎌田先生はプロジェクターに次のサイトを出して、抜粋してさらっと解説していきました。
※このサイトには瞑想の説明が割と詳しく書かれていますが、指導者のもとで行ったほうが安全かなと思います。
・マインドフルネス…今ここ
・ヴィパッサナー瞑想…観察、洞察瞑想
・ハート瞑想…ヨガで言うアナハタ・チャクラが開く
・坐禅…無念無想
・止観の瞑想…仏教の瞑想。サティ。(タイの高僧アチャンから2012年に教えていただいた瞑想がこれでした)
・TM瞑想…ビートルズがはまっていた瞑想法。マントラを唱えることで一点に集中する。
・チベット瞑想…『トンレン』。ダライラマが「私の心は安らぐ」と言って実践している瞑想。人の邪気を引き受けて自分の中で浄化し、外に出していくというもの。
・踊りの瞑想…ナタラジ(OSHO)の瞑想。音楽に合わせて40分踊り続ける。その後止まって20分自分を観察する。ワーリングというやり方は15分間ゆっくりと回り、その後うつぶせで休む。三半規管がおかしくなるけど瞑想法。
・観想法…真言宗のお寺でする阿字観。掛け軸の『阿』の文字をひたすら見つめる。
・OSHOダイナミック瞑想…20分間ピョンピョンと跳び、「STOP!」と言われたときのかたちで20分静止。身体がくたくたになると頭が働かなくなり、妄想すら起こらなくなることを利用。
・ナーダブラーマ瞑想…ハミング瞑想。ヨガでいうブラーマリー(蜂の羽音の呼吸)を続ける。エネルギーの振動で身体が変わる。20分くらいで実感。
ここから実習タイムです
1.ブラーマリー
10分くらいだったと思うのですが、脳に振動が伝わってくるので、頭がすっきりした感じがありました。
2.ダーラナ瞑想。
この字をじっと見つめて、目を閉じて眉間にこの字を焼きつけるようにしました。
3.チャクラ瞑想
7つのチャクラを意識し、そこに対応する音を響かせていきます。(私がしていたビージャ・マントラとは違う音でした。)
第一チャクラ→ブフー、第二チャクラ→ブハー、第三チャクラ→スバハー、第四チャクラ→マハー、第五チャクラ→ジャナー、第六チャクラ→タパー、第七チャクラ→サティヤン
4.ヨガの瞑想
先生の誘導に沿って、意識を向けて行きました。
手のひらの温かさを心の目で見て感じる→耳から入ってくる音を観察→目を閉じていても光を感じる→坐っている感じ。
瞑想の結果得られるものについて
・スピリチュアリティの向上
自然の法則に気付くことで、私たちは大きな法則の中で動いていることを知る。このことで自分の限界を知り、謙虚になれる。
・脳の使われていないネットワークが開く→可能性の拡大
・我欲から離れることができる
マインドワンダリングが収まった後に自ずと慈悲の心が生じる
マインドワンダリングは心が彷徨っている状態で、脳の無駄使いをしている。
瞑想によってそれを制御できるようになると、他者への慈悲が生まれる(これは広島の学会で熊野先生もおっしゃっていました)。
しかし愛情や慈悲の心に触れたことがない人は、瞑想しても愛も慈悲の心も生まれない。
僧侶は仏典や法話などで『こうあるべき』という理想形を学んでいる。日常生活が気付き促進の修行の場。慈悲の心もわかる。
そしてこの場にいる人たちは、瞑想実践者が多いだろうから、愛や慈悲の心を知っている。愛や慈悲に触れたことのない人にそれを与えることが大事。そうして愛や慈悲の心がたくさんの人に広まっていく。
なぜ、今、慈悲の瞑想なのか
アメリカと日本では背景が違うことから慈悲の心のあり/なしが起こっている、というお話からスタート。
日本が第二次世界大戦で敗戦した時は、国まるごとがボロボロになった。助け合える土壌があった。
ベトナム戦争の時のアメリカは、戦地に赴いた人はボロボロになり、でもアメリカ国内では反戦ムードがあって、帰国した兵士たちへの風当たりもきつく、戦争に関わった人の居場所がなく、心がボロボロになった。
助け合いの心は生まれなかったというのが1つ。
日本は災害王国でもあるので、何かが起これば常に助け合うしかなかった。そこで慈悲の心が自然と養われてきた。
日本は無宗教の人が多い感じがあるけれど、もともとは仏教の国。
正月になると神社仏閣に初詣する習慣があるなど、日本は慈悲の瞑想(トンレン)できる土壌はある。
アメリカではマインドワンダリングが鎮まった先には何があるのか、と考えるようになった。広島の学会の時の久賀谷先生にも聞いたけど、曖昧な答えしか返ってこなかった。
ジョン・カバット・ジンのおかげで瞑想を見る目が変わった。
アメリカでも人と人との付き合い方の見直しにつながった。
ベトナム戦争での反省もあって、(慈悲の)瞑想した先にあるものに注目が集まっている。
実習:慈悲の瞑想
次の言葉を全員で唱えました。
私が幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
私は幸せでありますように(3回)
私の親しい生命が幸せでありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命に悟りの光が現れますように
私の親しい生命が幸せでありますように(3回)
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)
これを唱えて、その流れでトンレン(他人の邪気を引き受けて、自分の中で浄化し、それを外に出す瞑想)をして、慈悲の瞑想の実習ではここまで。
実はさらに続きがあって、この場所では唱えませんでしたが、鎌田先生は「さらに進むと嫌いな人にも慈悲を向ける言葉が出てくるから、抵抗感ある人もいるかもしれないけど(笑)」と笑っておられました。
(続き)
私の嫌いな生命が幸せでありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願いごとが叶えられますように
私の嫌いな生命に悟りの光が現れますように
私を嫌っている生命が幸せでありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願いごとが叶えられますように
私を嫌っている生命に悟りの光が現れますように
マインドフルネスのプラクティスでもこの『嫌いな人』に向けて慈悲の言葉をかけるのですが、抵抗あるとおっしゃっている人が結構いました。
ヨーガの瞑想(ヴェーダ瞑想)
ヴェーダ瞑想の4ステップ
①シュラバナ(聴聞)…師匠の話を聴いたり本を読み、知識を入れる。
②マナナ(熟考)…じっと座って考える。自分の中を点検する。
③ニディディヤーサナ(深く瞑想する)…日常の中の気付き、愛の体験。
④ギヤーナ(悟り)…師匠のところで瞑想した結果を言語化することで、宇宙の法則が見えてくる。
私が学んでいるところでの瞑想も、結果を言語化(シェア)します。
言語化することで初めて、次のような様々な恩恵が得られるようになるということでした。
・科学が否定できない智慧(すべては変化する、100%思い通りになる物はない、など)が身につく
・感情がコロコロ変わることからわかるように、固定化された『自分』はない。
・全てとの調和を体験する
・最後は永遠なる宇宙(大きな力)と一体化すること
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ヨガしている私にとっては、違和感なく入ってくるお話でしたが、お昼のネットワーキング・スモールパーティ(つながりを作る昼食会)で精神科医の先生にこのワークショップの感想を伺ったら、予想通り「(^_^;) 」という反応をなさっていました(笑)