昨日の夕方、ずいぶんと久し振りに、イソヒヨドリの鳴く声が遠くに聞こえました(^_^)
今年はもう姿を消してしまったんだなあと寂しい気持ちでいたので、綺麗な声を聞けて、とても嬉しかったのでした。
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本題です。
昨年の8月の納涼歌舞伎で上演された『桜の森の満開の下』がシネマ歌舞伎になり、おととい、ムビチケが発売されたそうです(^_^)
マハーバーラタもシネマ歌舞伎にしてほしいです・・・(^_^;)
『桜の森の満開の下』は坂口安吾原作のお話で、舞台は飛鳥時代の奈良(明日香村の石舞台あたり)のようです。
野田秀樹さんが歌舞伎の脚本を書きました。
中村屋兄弟のぴったり感、最高なのです(^_^)/
七之助さん
夜長姫(よながひめ)の役です。
まっすぐで、虫も殺さないような可愛らしいお顔と仕草なのに、残酷さもあって、狂気のお姫様。13~16歳という設定です(笑)
はしゃぎながらぽいっと火を放って、耳男の作業小屋を全焼させたりします(^_^;)
しぐさがかわいらしいのですけど、場面ごとに声色が変わります。阿弖流為の立烏帽子&鈴鹿のような。
夜長姫のセリフで印象的だったのが、
「耳男は私といれば、いつでもそこが桜の森の満開の下」←ここは無邪気な子どもの言い方
「好きなものは呪うか殺すかしなければならないのよ。
さもなくば、争うか」←ここは低音で凄みのある声色
脚本を書いた野田秀樹さんは、インタビューの中で
「(七之助さんの)声を聴いただけでぞくっとして、女性ではないけど、でもやっぱり男性ではなく、不思議な生き物としてそこにいる。これは歌舞伎の発明したものとしてすばらしいもの。」
と語っています。
美しさと無邪気さと狂気。
七之助さんは人外のもののお役がとても上手だなあと思います。
勘九郎さん
耳男(みみお)の役です。
こちらもまっすぐな人の役です。最初はチャラい男の人ですが(笑)
純粋でパワフル。身体能力の高さにはここでもびっくりです。
夜長姫にずーっと振り回されているけど、最後、強い男です。
夜長姫と二人「いや~、まいったまいった~。」と、振りをつけてのセリフが大好きです(^_^)
(その年の錦秋特別公演の芸談でも、お客様から「まいったーのセリフをやってください」とリクエストがでて、お二人の息がぴったりなところを見せて下さいまして、拍手喝采でした(笑))
染五郎さん
背中にイルカのぬいぐるみを背負って登場します。
オオアマは、実は、蘇我入鹿を暗殺した天智天皇の弟ですが、イルカを背負って?歴史に詳しくないので、今でも謎です(^_^;)
夜長姫の妹の早寝姫(はやねひめ=梅枝さん)に言い寄って、うふうふいちゃいちゃしたりもします(笑)
マナコ相手に壁ドンする場面で大笑いしたという記憶があります。
他にも、猿弥さんの演じるマナコがやたらヤクルト(甘い乳酸菌飲料のあれです(笑))を推してくるのがおもしろかったです(笑) 飛鳥時代にヤクルトあったの?(笑)
それと扇雀さんや彌十郎さんのような重鎮的ポジションの人たちがギャグを言ったりしていて、ちょっとびっくりしました(笑)
野田秀樹さん
野田秀樹さんが書く歌舞伎だからか、セリフは七五調であっても、前半は現代劇っぽい感じがありました。
どの役柄も、膨大な言葉(セリフ)が土石流のよう押し寄せてくるので、脳みそが溶けて、頭から溢れそうな感じになったのを覚えています(^_^;) 難解です。
役者さんたち、あのセリフの量、テンポ、よく暗記できたなあと感心もしました。
私は歌舞伎を観てよく泣いているのですが(^_^;) 『桜の森の満開の下』では、後半、涙が流れっぱなしでした。
静かな雨がずっと続くような感じで。
舞台上に広がる、悲しさとうつくしさ。
耳男と夜長姫の関係性の変化。
物語のあれこれにわかりにくいところがあっても、まっすぐに感情に訴えかけてくる感じがあったように思います。
記憶に残る、とてもよい演目だったなあと今でもしみじみと。
シネマ歌舞伎になってよかった(^_^)
シネマ歌舞伎をご覧になる前に
この演目はこの本の、『桜の森の満開の下』と『夜長姫と耳男』の二編をミックスさせたお話になっています。
シネマ歌舞伎をご覧になる前に読んでおくと、野田秀樹さんの難解な演出がわかりやすくなるかもしれません。
私も観に行く2か月ほど前に買い、何回も読みました(^_^)
大阪だと、梅田のステーションシネマや、なんばパークスシネマなど、大きめの映画館で上映されます。
2時間10分の作品です。
ムビチケ買いにこうっと(^_^)
筋書の写真です。読み返していたのですが、あれだけのボリューム、展開を上手にまとめてあって、すごいなあと思います。
写真の中のピンク色の花びらは、歌舞伎座で『桜の森の満開の下』を観たときに記念に拾ってきたものです(笑)
たくさんの桜の花びらが、舞台の最後、ぽつんと座り込む勘九郎さんの頭上から、はらはらと落ちていくのでした。