今日もよい日

ストレスのお薬としてのヨガ。お医者さんたちも、ヨガと瞑想に注目しています。

『野田版 鼠小僧』を観てきました(シネマ歌舞伎)

 

 

本当は12/29からの上映なのですが、一部の映画館では一週間前倒しして始まっている『野田版 鼠小僧』。

 

亡き勘三郎さんの演目です。

 

 

 

 

なんばパークスシネマで観たのですが、上映時間が9:20からと早朝(^_^;)

 

『こんな早い時間から上映とは、歌舞伎を観る世代は早起きとか思ってるんだろうなあ』と思っていましたら、8:30から上映している作品もあるようで(^_^;)

 

『鼠小僧』の上映時間、28日(金)からは11:40~に変わるようです。

 

 

野田版ということで

 

『鼠小僧』は野田秀樹さんが書いた演目です。

 

昨年、歌舞伎座で、野田さんが書いた『桜の森の満開の下(来年の4月にシネマ歌舞伎に(^_^))』を観たのですが、言葉の量が膨大で早口なので、脳が疲れてしまって(^_^;)

 

今回もそれを覚悟して『鼠小僧』を観に行ったのですが、『桜の森』に比べたら、まだ大丈夫でした(^_^;)

 

でもやっぱり、歌舞伎の古典の演目と違って、台詞が多いです。口語でわかりやすいのがまだ救い。

何もかもがスピーディーで、場面の転換と共に動く舞台上のあれこれ(屋根や長屋、引き戸など)も、とても滑らかに動かされていきます。

 

野田さんの脚本は社会風刺を入れるのが特徴、と何かで読みましたが、今回は [理不尽] がテーマなのかなあと思いました。

 

権力者の狡さ、ころころ変わる民衆の心、裏切り、自分の利益のために他人に迷惑をかけても平気。

 

勘三郎さんがこの世にいないという事実も相まって、なんともやりきれない気持ちになりました。

 

また例によって、私は観ながら泣いてしまったのでした(笑)

 

他に泣いている人はいなかったようでしたが、上映が終わってからもみなさん言葉少なめで。

 

ずっしりと響く何かがあるのかもしれません。

 

 

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ここからはちょっとネタバレも入っています。

 

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勘三郎さん

芝居小屋で上演中の鼠小僧の真似をする棺桶屋の男です。

ものすごく汗かきなんだなあと(笑)

屋根を歩く場面などは運動量も多いと思うのですが、バランスよくひょいひょいと動きます。若い。46歳の時の作品なんだそうです。

そして、意外と背が低いのかなあと感じました。

どこからが決められたセリフで、どこがアドリブなのかわからない自然さ。

前半と後半で、お芝居が全然変わってきます。最初は楽しい男なのですが、残り3分の1くらいから終わりに向かってどんどんとシリアスになり、お芝居に引き込まれました。

名前が「三太(さんた)」なのですが、サンタクロースと掛けています。最後の方になって『ああ!』と気付いたのでした(^_^;)

 

 

中村福助さん

映画でしか観たことがなく、先日観たシネマ歌舞伎『ふるあめりかに袖はぬらさじ』もそうでしたが、ものすごく面白い人物を演じている福助さんしか、私は知らないのです。よい女形さんと聞いていますから、しっとりとした役も観てみたいなあ。

 

 

中村芝翫さん

この頃はまだ橋之助さんです。みんなから愛される控えめな善人の役なのですが、それは表の顔。裏の顔は酷いものです。大岡裁きの場面での芝翫さんには、ものすごく腹が立ちました(笑)

 

 

 勘九郎さん

ちょっと抜けてる岡っ引きの役です、実直でもあります。

やたら動きが大きく、はしゃいでいたり、1人で声を張り上げているので、なんだか違和感(笑)

 

 

七之助さん

お金大好きな嫁入り前の娘の役。爆笑です(笑)

彌十郎さん(番頭さん)と扇雀さん(母親)と七之助さん(娘)の3人で、これから遺産(大金)が入る予定の芝翫さんの嫁になりたいアピールをする場面があるのですが、こんなにコミカルで激しい動きをし、表情豊かな七之助さんを初めて見ました(笑)

私が歌舞伎を観るようになってからは、例えば俳優祭かぐや姫のときでも、みんながお祭り騒ぎで盛り上がる中、中村屋兄弟だけは割と真面目でシリアスに演じていることが多いので、コミカルな七之助さんはとても新鮮です。

この頃(20歳くらい)も美人さんなんだけど、今の方がもっと美しい(^_^)

 

 

中村獅童さん

最初から死人として登場です(笑) 片岡亀蔵さんが得意そうな役です。

ちょっと前に獅童さんに密着する番組があってその中で「勘三郎のにいさんに引き立ててもらった恩がある」というようなお話をなさっていたのですが、2003年に上演されたこの演目も、勘三郎さんが獅童さんを推したのかなあとしみじみ。勘三郎さんと口づけ寸前の場面もあります(笑) 予告動画に入っています。

 

 

坂東三津五郎さん

勘三郎さんとなかよしの三津五郎さんです。正統派という感じがします。

大岡越前守の役なのですが、巷では鼠小僧が自分より人気であることに嫉妬しているという設定なのです(笑)

お妾さんを囲っていたり、そのお妾さんの家でのやり取りがとても面白いです。

ふすまの向こうに隠れているのを乗り込んできた正妻さんに見つかるのですが、正妻さんがふすまを一気に開けたとき、なぜかお茶を点てている振りをしていて、周りのお客さんも爆笑していました。

 

 

清水大希さん

「さん太」という名前の子どもの役です。演じているのは7歳か8歳の男の子です。『さん太』はおじいちゃんの教えを信じ続ける純粋な男の子。

上演が終わって、お友達同士で来ていた方がロビーで「あの子役は誰だクイズ」をしていました(笑)

私は口元の感じでこの子役が誰だかすぐわかっていたのですが(笑)、その女性は「えー?有名な子役なの?」と気付かない様子(笑)

答えは鶴松さんです(笑)

中村屋の部屋子で、勘三郎さんが「3番目の息子みたいなもの」ととても可愛がっていた鶴松さんです。

面影ありますし、本名を知っていたのですぐにわかりました。シネマ歌舞伎のHPの配役見たらわかるのですが(笑)

普通のおうちの子どもさんなのに、こんな小さな時から歌舞伎の世界にいたんですね。

勘三郎さん演じる三太との絡みが結構泣けます。

でも、歌舞伎に出てくる子役みんなそうなのですが、すごく棒読みです(笑)

カーテンコールの場面では、勘三郎さんの懐にすっぽりと入って歌舞伎座のお客様に頭を下げて挨拶していました。ここもちょっと泣けました。

 

 

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なんばパークスシネマではすでに上映が始まっていますが、他のところでは29日(金)から始まるようで、おしまいは1/4(金)。

 

勘三郎さんを観る世代にとっては、年末の大掃除、迎春準備、おもてなしなど、一番忙しい時期なんじゃないかなあと思いますが(^_^;)

 

1時間50分の作品で、今回はお手洗い休憩はありませんのでご注意ください(笑) 

でも、スピーディーな展開で、中だるみに感じる場面もなく、あっという間におしまいの時間になっていました。

 

私が観た日は3分の2ほどの入り。

古い演目(2003年)なのですが、勘三郎さんの人気は健在だなあと思いました。

 

 

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次回のシネマ歌舞伎

 

沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)』)/『楊貴妃(ようきひ)』の二本立てです。

 

どちらも玉三郎さんがメインです。

 

『ほととぎす』は、玉三郎さんが淀の方、七之助さんが息子秀頼を演じます。

歌舞伎座で観ましたが、泣けました。←いつものこと(笑)

 

年明け1/12(土)から2/1(金)まで。新作なので少し長めの上映期間です。

 

楊貴妃』は観たことないので、私もシネマ歌舞伎を観に行きたいと思っています(^_^)