なんばパークスシネマで 『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ) / 楊貴妃(ようきひ)』を観ました。
どちらも玉三郎さんを堪能するための演目です(^_^)
いつもの小さな部屋(シアター2)ではなくて、シアター10。273席もある大きな部屋でした。玉三郎さん人気を当て込んでのこの大きさなのでしょう。
でも、私が観に行った日に来ていたのは、たぶん30人にも満たないんじゃないかな・・・(^_^;)
最後列を選びましたが、ひとつ前の席との間が、普通に人が歩けるくらいの幅があり、これは完全に通路、前の席とかなり空いています(笑)
広々していていいです。
館内はガラガラ、快適に観られるはずが、すぐ隣にご婦人が座っています(^_^;)
最後列は23席あり、最後列に座っているのは3人(笑)
ご婦人と私は、まるで友達のようにぴたりと隣り合って座っていたのでした(笑)
誓って言いますが、私がネットで2日前に席を取ったときは、最後列は誰もいなかったはず(笑)
私の取った席、または、ご婦人が座っている席が、ご婦人の定位置なのかもしれませんね(笑)
沓手鳥孤城落月 (ほととぎす こじょうのらくげつ)
おととしの10月に歌舞伎座で上演された新作です。
この月の昼の部がまるっとマハーバーラタ戦記だったので、昼、夜、通しで観に行きました(^_^)
淀の方:坂東 玉三郎
大野修理亮治長:尾上 松也
饗庭の局:中村 梅枝
御台所 千姫:中村 米吉
碑女お松実は常磐木:中村 児太郎
包丁頭 大住与左衛門:坂東 亀蔵
氏家内膳:坂東 彦三郎
正栄尼:市村 萬次郎
あらすじ
物語は落城寸前の大阪夏の陣が舞台。千姫や侍女たちが城の奥殿に隠れています。そこへ徳川家康の孫千姫を城から逃がすために、手引きする奥女中がやってきますが、淀の方が現れ、毅然と阻止します。淀の方はこの奥女中が顛末を白状するまで拷問にかけると宣言。それを聞いた奥女中は舌を噛み切り自害。淀の方は次に千姫の襟に手をかけ、豊臣家滅亡はおまえのせいだと責めます。そんな中、大野修理亮治長という豊臣の家臣がやってきて、覚悟を決めるようにとその場のみんなに告げます。大住与左衛門が城に火を放ち、千姫は城から脱出することに成功します。千姫が逃げたことを知った淀の方は気が触れ、気絶します。徳川方の攻撃によって奥殿の壁が破壊され、その音で淀の方は意識を取り戻しますが、気が触れたまま。侍女らが介抱したりなだめたりしているところに息子秀頼が現れます。母の乱心振りを見て、自分の手で母を亡き者にし、自らも自害しようとします。侍女らに止められ涙をこぼす秀頼。泣いている息子を見ても気が触れたままの淀の方、カラカラと笑っていたりします。それを見た秀頼はもはやこれまでと開城を決意、正気を取り戻した淀の方は秀頼を抱き寄せ、覚悟を決めるのでした。
千姫の米吉さんが本当にかわいらしいお姫様で、七之助さんとは違う美しさにうっとりしました。
松也さんが出ていたことはすっかり忘れていて、忘れていたことに自分でもびっくりしました(^_^;)
自害する奥女中が児太郎さん。口にいつ血のりをつけたのか、またもや見逃しました(^_^;)
玉三郎さんは、舞台で観たときも、物語の始まりは滑舌がよくないなあと思って観ていました。
しかしすごいセリフの量。いつの間にか滑舌の悪さは気にならなくなり、これだけのセリフを覚えることができるなんて、歌舞伎役者さんってすごいなあと思っていました。
気が触れた(乱心)の演技は、本当に怖くて、でもたまに見せる弱い面との対比で、さらに凄みが増していました。
映画になるとアップで観ることができるのでわかるのですが、涙がこぼれそうでこぼれない。目の縁でぎりぎり止まっては消える。淀の方の強さみたいなものを、そんなところで感じたりもしました。
「秀頼を演じるというよりも、玉三郎さんが淀の方を演じているのを見ているだけで、火薬のにおいがするような感じで、もう凄いとしか言いようがなかったです」というようなニュアンスのことをおっしゃっていました。
本物の淀の方を見たことはありませんが、玉三郎さんが演じる淀の方は、豊臣家の中核として生きた強い女性そのものだったように思います。
七之助さんは、可哀想な息子です。
千姫(自分のお嫁さん)が逃げてしまったこと、自分の代で豊臣家がなくなるかもしれない悔しさ、母親が乱心中であり、その母を手にかけ自分も死のうとするも周りに止められる、家臣からの進言を耳に入れながら、降伏するのか戦いを続けるの間で揺れながら、時間も迫っているから決断しなければいけない。複雑な気持ちがセリフと共にどんどんと伝わってきました。
確か、歌舞伎座で観ていたときは、私もつられて泣いたのですが、映画では泣けず(笑)
アップで見た七之助さんは、涙を本当にぽろぽろとこぼしていて、可哀想度が増しているはずなのですが(^_^;)
物語の終わりが、シネマ歌舞伎の予告編のラストシーンと同じもの。
千姫の残していった打掛を握りしめ、悔しさを隠せない淀の方を、幼子のように見上げるように秀頼。
ここでこの演目は終わり。すぐに『楊貴妃』というタイトルがスクリーンに現れるので、劇場内から「あら、この中途半端な感じで終わり?」みたいなざわめきが(笑)
楊貴妃(ようきひ)
方士:市川 中車
舞踊の演目です。おととし12月に上演されたものです。
これはあらすじを頭に入れていないと理解するのがむずかしいです(^_^;)
あらすじ
中国の唐の時代、亡くなった楊貴妃への思いが忘れられない玄宗皇帝は、楊貴妃の魂を探すように方士に命じた。方士が蓬莱山の宮殿で楊貴妃の魂を呼び出すと、在りし日の美しい姿で現れる。楊貴妃は永遠の愛を誓い合った皇帝との思い出の数々を思い返しながら舞うのだった。(シネマ歌舞伎HPからお借りしました)
玉三郎さんの劇中のインタビューで確か「玄宗皇帝は時間を自由に行き来できる人である、ということを頭に入れていただくと、わかりやすいと思います」とおっしゃっていましたような(^_^;)
その玄宗皇帝は舞台には登場せず、楊貴妃の魂を探す方士が登場します(^_^;)
予告編だけを見たときは、皇帝役が中車さんだと思っていたので、ちょっと混乱しました(笑)
玉三郎さんの解説を聞いた後でも、やはりよくわからなかった、というのが正直な感想です(^_^;)
ただ、玉三郎さんの美しさは輝くよう。
予告編にあるように、御簾らしきものの向こうから楊貴妃が現れたのを観たときは、映画なのに、場内からほぉ~…というためいきみたいなものが聞こえてきました。もちろん私もほぉ~…と見惚れていました(笑)
物語の意味を理解できたらそれに越したことはありませんが、私の場合は『美しいものを観る』と割り切って観ている感じです。
舞踊は本当にむずかしいなあと今回も思いました。
沓手鳥孤城落月 / 楊貴妃 は今週金曜日、2/1までの上映です。