『大塚国際美術館に来てみたものの、実はあまり絵に詳しくない…』
そんな私みたいな人におすすめなのが、ガイドさんが案内してくれる定時ガイド。
大塚国際美術館では、毎日決まった時間に、ガイドさんが絵についての解説をしてくれるツアーが開催されています。
鑑賞のサポート|美術館を楽しもう|大塚国際美術館 - 四国 ・ 徳島県の美術館 観光施設 -
9月に初めて行ったときは、2時間のツアーに参加しました。
古代、中世(キリスト宗教画など)の作品や、ルネサンス(ミケランジェロ、ダ・ヴィンチなど)、バロックの作品(レンブラント、フェルメール、ルーベンスなど)を解説つきで鑑賞することができます。
2時間のツアーですが、途中、お手洗い休憩もあります。
ガイドツアーは集合場所などもありますが、好きなところから参加して、途中で抜けることもできます。
12月になり、2回目に行ったときは
『人気作品ベスト10』のガイドツアーに参加しました。
これは1時間のガイドツアー。おいしいところだけギュギュッと詰め込んだ感じ(笑)
で、ここから本題(笑)
ガイドさんの解説つきで回る『人気作品ベスト10』をカウントダウン形式で(笑)
絵の写真(陶板の絵なので 撮影可)に続く文章は、ガイドさんがお話し下さったことをまとめたものを書いています。
※ 順位、題名、作家の名前、(どの階にあるのか)、の順に書いてあります。
第10位 オフィーリア / ミレイ(B1F)
樹木希林さんが「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というコピーつきで、新聞広告に登場しました。その広告の写真はこの絵をモチーフに制作されたそうで、本当にそっくりなのです。(よかったら検索してみてください)
オフィーリアは父親を殺され、彼氏(ハムレット)にも冷たくされ、たび重なる悲しみから心を病みます。花を摘んでいる時にうっかりと川に流されます。その場面を切り取った絵なのだそうです。
絵の制作にはモデルさんを起用。バスタブに実際に浸かってもらって描きました。絵の中では、あおむけのまま手をを広げた形になっていますが、ミレイは細部にもこだわりました。バスタブのお湯がすっかり冷めてしまい、モデルさんは風邪をひいたというお話も残っているのだとか。
植物がたくさん出てくるので、解説パネルがすぐそばにありました。ケシの花=死を意味するのだそうです(物語の中のオフィーリアも、実際にこのまま溺死します)。
解説パネルです
第9位 接吻 / クリムト(B1F)
絵の中の女性が幸せそうな表情をしていることから、女性に人気の作品。
でも、幸せなのは表情だけかもしれません。絵の中の象徴的な花はケシ。オフィーリアにも出てきましたが、死を意味する花です。女性の足元を見ると崖のギリギリのところにいます。
この絵は『死とエロス』を表現しています。
第8位 システィーナ礼拝堂 / ミケランジェロ(B3F)
米津玄師さんが2018年の紅白歌合戦で歌った場所です。そのおかげで大塚国際美術館はとても有名になり、たくさんの人が足を運んでくれるようになりました。
CDジャケットに使われているレモンの絵、米津さん本人が描かれたのだそう!
紅白出演の記念に陶板の絵になり、2019.7.30から常設展示されています。
システィーナ礼拝堂の天井画は、ミケランジェロが4年もの歳月をかけて描き上げました。『アダムとイブの禁断の果実』、『ノアの箱舟』など『天地創造』の場面が描かれています。
自分で足場を組み、ずっと上を向いたまま描き続けます。顔に絵の具がポタポタと落ちてくるなど、苦労の連続でした。制作途中に「私は彫刻家なのに…」と父親に愚痴の手紙を送っています。
大塚国際美術館でこの作品が公開された当初は、天井絵も実は平坦な絵として展示されていました。10年の歳月をかけて、陶板を曲げる技術を開発、本家のものを再現することに成功しました。
正面の絵は『最後の審判』。
天井画を完成させてから30年後に正面の絵の依頼が来まして、アシスタントもつけずに5年かかって描き上げました。『最後の審判』を完成させるころには、ミケランジェロは60歳を超えていました。
第7位 ゲルニカ / ピカソ(1F)
ピカソはスペインの画家。スペイン内戦中にゲルニカという都市が、ドイツ軍に無差別に攻撃されます。その様子を描いたのがこの『ゲルニカ』です。
もともとは万博のスペイン館に飾るための絵でした。第二次世界大戦が始まったとき、この絵はたまたまアメリカにあり、戦場であるフランスに戻すことを躊躇したピカソは、アメリカで保管すると決めました。
戦争が終わった後も、ピカソは『ゲルニカ』がアメリカに留まることを望み「スペインが民主化するまでスペインに戻すな」と言っていました。1981年『ゲルニカ』はスペインに戻されました。
「見たままを感じて」という想いから、この作品の説明文はなし。この大きな絵の細部をよく見ていくと、死にそうな馬、死んだ我が子を抱く母親など、暗いモチーフもありますが、電球や鳥、再生や希望を意味するアネモネの花が描かれています。
第6位 大睡蓮 / モネ(B2F、1F)
モネの晩年の作品です。モネは睡蓮だけでも200点以上描いています。
生前に「自然の光で観てほしい」という想いがあったそうですが、絵画だと日の光ですぐに劣化してしまいます。しかしここ大塚国際美術館での展示では、陶板。劣化することのない陶板でモネのその想いを叶えています。(絵の向こう側には、神戸淡路鳴門自動車道が見えます(^_^;))
モネの絵の中に静けさがありますが、日本の浮世絵の影響を強く受けていると言われています。
フランスでは筆の跡がある絵画は認められません。自由の国アメリカでは筆の跡があってもよいものはよいと評価されます。先にアメリカで認められ、そののちフランスに逆輸入されるという形で、モネは有名になりました。
第5位 最後の晩餐 / / レオナルド・ダ・ヴィンチ(B2F)
修復作品①
もともとは建物の食堂に描かれた絵です。建物が爆撃を受け、絵も風雨にさらされますが、のちに修復されます。それがこの絵です。
(修復作品①と修復作品②は、一つの大きな部屋に、椅子を挟んだ向かい合わせに展示してあります)
それでは振り返ってください。
1979年から、20年間かけてさらに修復されたものがこちらです。(修復作品②)
修復されたものでは、足元が見えるようになりました。テーブルの上にある食べ物も、羊肉とされていたものが、実は魚の切り身であることが、修復作業によって判明します。中央のキリストの足元はまっしろで見えないようになっていますが、これ、食堂のドアの上にあるスペースに描かれた絵なので、白いのはドアなのです(笑)
『最後の晩餐』は「この中に裏切り者がいる」とイエス・キリストが言ったとされる場面を描いたもの。
左から4人目が裏切り者のユダです。ユダの手元に銀貨30枚の袋がありまして、イエス・キリストは銀貨30枚で売られたということがこの絵からわかります。
第4位 真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)/ フェルメール(B2F)
「オランダのモナ・リザ」とも呼ばれ人気なのがこの作品です。
フェルメールは17世紀に活動していましたが、19世紀になってから注目されるようになります。
光の使い方に特徴があります。少女の瞳の中、唇、真珠の中にも光があります。服はトルコか東南アジアの服装と言われています。ターバンの青色にはラピスラズリという鉱石がふんだんに使われています。このラピスラズリはフェルメールの作品ではよく使われていますが、実はとても高価なもの。フェルメールのバック(パトロン的な)にはお金持ちはいなかったとされるので、どうやってラピスラズリを手に入れていたのかは、今でも謎とされています。
***********
4位まで書いてみました。
「解説聞きたいけど時間がない!」という人向けには、音声ガイド(1台 500円)の貸し出しもあります。
(つづく)