あるお山に登ろうと、車で1時間弱かけて向かいました。
車はお寺さんの駐車場に停めます。
登りたいお山はお寺さんそのもので、本堂の奥にあります。
しかしこのお寺さん、実はとても不便なところにあります。
一般のお参りの方も駐車場から本堂まで50分、急坂の舗装路を歩かないといけないのです。
駐車場は5~6台停めることができ、私は最後の1台のスペースに無事にIN。
荷物を整えたり、靴紐を締め直したり、準備体操をして。
『よーし、行くぞーー(^_^)/』と思った時に、車が1台入ってきました。
すでに満車なので停めることはできません。
引き返すにしても転回が難しめのところなので、同乗の方が車から降りて誘導しています。
純粋にお寺さんに来られた方のようで、山登りの服ではありません。
ナンバーを見たら、島根ナンバー…。
『遠く島根からはるばる この不便なお寺さんにお参りに来られたのだな…。』
車を誘導している方に思わず「島根から来られたんですかー?」と話し掛けました。
「そうなんですー。」
先にも書いたように、このお寺さんは本堂まで急登を50分、私の前に入った車(登山者)も、私が停める直前に停めたばかり。
『誰もしばらく下山しないから、車が出ていくことはないだろうな…。島根からはるばる…。』
「あの !! 私(住んでいるのは)奈良なんで ここにはいつでも来られます。私、出ていくのでここに停めて下さい!」
「え!いいんですか !?」
「はい~(^_^)」
で、車に乗り込み発車。
バックミラーで見たら、運転されている方もぺこぺこと何度もお辞儀をされていました。
山道を下りてきて『へへへー、いいことしたー(^_^)』と思いながら、別のお寺へ。
そのお寺の奥にも、別の登れるお山があるのです。
山に登るという目的は達成できます(笑)
いい気持ちで山に登り、下りて、お寺の境内を散策。
人がいなくて、とても静か。
おひさま出ていて気温もちょうどよく気持ちいい…。
おおっ!大好きな【如意輪観音】があるらしい!
室生寺で見て大好きになった仏様が、このお寺にもいらっしゃるなんて(^_^)
秘仏なので実物を拝むことはできませんでしたが【如意輪観音】の写真とか絵がいろいろ。
うっとり~(笑)
他にも狩野派の屏風絵のレプリカ(ピカピカ)や、壁に描かれた天女の絵も素晴らしく。
このありがたい空間をひとり占め。ゆっくり見ることができました。
『これはさっきいいことしたご褒美に違いない~(^_^)』と とても満たされた気持ちに。
で、後日、この日あったあれこれを聞いてもらいました。
返ってきた第一声が
「アホちゃう?」
えええぇぇぇぇ… アホって……
「わざわざ時間かけて運転してって、目的の山に登らずに帰ってきたんでしょ?」← 確かににそうだけどさ…
ものすごく悲しい気持ちになり、3日間くらいその悲しみの中で時々溺れていました…(^_^;)
この悲しい気持ちがどこから来るのか、瞑想のお題に。転んでもただでは起きない(笑)
悲しい気持ちの裏には
【いいことした私を褒めてほしい】
という欲があったのでした。
ヨガの教えの中に
【行為の結果に執着しない】
というものがあります。
私は【自分がそうしたいと思ったから駐車スペースをお譲りした】
ここで完結しているのがあるべき姿だったのです。
誰かに褒めてほしいというのは、余計な欲なのでした。
欲張ったばかりに、求めるものを得られなくて悲しくなるという(^_^;)
まだまだ修行が足りません(^_^;)
精進します。
こちらが如意輪観音菩薩