「臨床心理士会のフォーラム」と聞くと、すごく敷居が高い感じがしますが「一般向けの講座です(^_^)」とのことだったので、お勉強に行ってきました。
こころの健康フォーラム2019 | 主催: 奈良県臨床心理士会
基調講演1
臨床心理士の役目と今後の課題(奈良県臨床心理士会の歩み)というタイトルです。
臨床心理士という資格が認定されるようになってから、まだ歴史が浅く、始まりは1980年代のことだったそうです。
認定制度が始まる前の戦後には、家庭裁判所や少年院のような法的な施設や、学校現場、精神医療の現場などで、今の臨床心理士と同じような活動が行われてきたのだそうです。
世の中のニーズと、臨床心理の職能団体としての質も高まってきたころ、それをよく思わない医師会からの圧力が何度もあったそうです。
講師の先生のお話によると
「医者は自分たちがヒエラルキーのトップじゃないと気が済まない」からなんだとか(^_^;)
しかし、阪神淡路大震災のような災害後の心のケアや、学校でのスクールカウンセラー事業の始まり(初めは現場の教員からの反発もきつかったのだそう)など、心のケアへのニーズが高まり、ようやく2017年に国家資格として公認心理士が認められるようになったのだそうです。
講師の先生のお話では、これも医師会の強い圧力があり、思うようにならなかったようで…(^_^;) (割愛します(笑))
基調講演1は『臨床心理士会と医師会の闘いの歴史』を聞いたような気持ちになりました(笑)
基調講演2
基調講演1が『臨床心理士会と医師会との闘いの歴史(笑)』だったのに対し、こちらはその後のお話。
奈良の教育現場に、奈良県臨床心理士会がうまく溶け込んでいっている例を紹介してくださいました。
初めて聞いたのですが、奈良県はスクールカウンセラーに関係する予算が少ないのだそうです。
そんな中、橿原市と葛城市では、市が独自に予算を組み、カウンセラーを学校現場に入れています。
独自の取り組みに至った理由の一つとして挙げていたのが、いじめに関する法律ができた後、いじめによる最初の自殺者が橿原市で出てしまったことがきっかけなのだそうです。
橿原、葛城の2つの市と奈良県臨床心理士会ががっちり組んで、個別カウンセリング、個別アセスメントにとどまらず、アウトリーチ型地域支援事業を展開、現在はよい結果を出しています。
葛城市の取り組みは 葛城システム と呼ばれていて、他の府県からも見学に来るほどなのだそうです。
たくさんの人の知恵と工夫と努力でよい効果を上げたのですから、ぜひ県も予算を組んでいただいて、他の市や町にも取り組みが広がるといいのにな、と思いました。
若者の精神障害(特に発達障害)が増えているというお話もありました。
理由にはいろいろあるのですが、先生のお話では
1.他人に相談できない子が増えている
2.コミュニケーションの変化(ネットとスマホ)
を挙げていました。
2については面白い実例があったのでご紹介したいと思います。
むかしむかし、まだ携帯電話がなかったころ。彼女と待ち合わせをしていた僕。駅まで30分ほどかかる道をバスに乗っていました。しかし途中でバスが事故に遭います。身体は無事ですがバスは動きません。次のバスを呼んでいると運転手さんは言いますが、いつ来るかわからない。ここから歩いていくと30分くらいかかる。「どうしようどうしよう。彼女が駅で心配しているだろうな。」
一方彼女。駅で待っていても彼氏は来ません。『いつも時間通りのあの人が。何かあったのかしら。』
待っている間、お互いを心配します。これが『慮る』という気持ち。
時代は移って、今。
同じようにバスが事故。
すぐさま彼氏はスマホを取り出して「事故だからちょっと遅れるよ」→その後は暇だからゲーム。
電話を受けた彼女「わかった、気を付けてね」→暇だからウィンドウショッピング。
・・・相手を慮る場面なし(^_^;)
このお話を聞いて、私はどっちの時代も知っているから、その場面で慮る気持ちがよくわかるけど、生まれたときから便利な今の子たちはわからないかもしれないなーと思いました。
その違いみたいなものが、他者に対する感情や振る舞いのあれこれに出て、昔人間は『(^_^;)?』って感じてしまうけど、今の子たちはそれが当たり前。埋められない溝がそこに…。
脳のシナプスの形成と刈り込み
発達障害と診断された子にどう接するのかというお話があり、興味深かったです。
脳のシナプス(神経細胞のつなぎ目)の形成は10歳で終わるのだそうです。
10歳からは過剰に作られたシナプスは自然に刈り込まれていき、発達障害の子も落ち着いてくることが多いのだそうです。
しかし、1歳半の健診などで、発達障害と診断されてしまうと、周りに迷惑をかけまいと、親は、子どもの行動に過剰に反応して「あれだめこれだめ」と抑えつけます。
抑えつけれた子どもは症状がおさまったとしても、17歳くらいでうつ病を発症することが多いということです。
ですから、親は、子どもが何か起こしても、ひたすら謝りまくって、子どもを過剰に抑えつけないように。10歳過ぎたら自然に落ち着くよ、というお話でした。
うちの近所にも、家の外で暴れまくったり叫んでいる子がいましたが、いつしかおとなしくなりました。当時、迷惑かけられていたこちら側もそれを知っていたら、イライラしなくて済んだのかなと(^_^;)
ただし、10歳ごろまで何もしないのではなく、臨床心理士が関わり続けてその時を待つ、というサポートありきのお話でした。
奈良県にも、サポートしてくれるところがたくさんあります。
http://www.nsccp.jp/search.html
おしまいに、一般の私たちにできることは、
・人に相談する練習をすること
・相談された人は話をちゃんと聞くこと
なのだそうです。
みんながそうしていると、心の不調が減るのかな。
仕事柄、話を聞く練習は日常的にしていますが、人に相談することって確かにないなぁ(^_^;)と思ったり(笑)
分科会
『ココロとカラダのウェルビーイング(ボディワーク体験)』に参加しました(^_^) ヨガと通じるものがあると思って
ウェルビーイングとは『幸福』と訳すのだそうです。
先生は精神科医で大学の教授、昔は空手、今は太極拳をなさっているのだそうで、講座の後半は太極拳などをしました。
いただいた資料に『専気致柔、能嬰児乎』という老子の言葉がありました。
身体を気で満たせば身体が柔らかくなり、生まれたての赤ちゃんみたい(肩こりも腰痛もない)になれる、という意味なんだそうです。
身体を使うことで気を練る、そうすると気を満たせると先生はおっしゃっていました。
・緊張:緩和(弛緩)=交感神経:副交感神経
・「ゆるんでいること」への気付き
・カラダに働きかけること(動かす/対話する)ことによって、身体と心を元の状態(赤ちゃん)に戻そうとする試みがボディワーク
という言葉も資料にあって、私のヨガのクラスだなぁとニヤニヤ(笑)
ボディワークを行うことで
・健康の回復・維持・増進
・(身体的)自己への気付き
・潜在的可能性の開発
が行われるともありました。これもヨガと同じ!(^_^)/
先生も
「太極拳やヨガはいいです(^_^)」
とおっしゃっていました(^_^)v
「ふぁんそん」プログラムの実習
放鬆(ふぁんそん)とは…無駄な力が抜けて、気が流れやすくなった状態のこと
初めにすわいしょうを2種類しました。
前後に手を振るものと、ねじねじするものです。
どちらも,、たまに私のクラスでやってます(^_^)v
「すわいしょうで
人生変わるよ!(^_^)/」
と先生はおっしゃいました。異議なし(笑)
腰痛が悪化して2kgの重さのものも持てなかったけど、すわいしょうをするようになって治っちゃったのだそうです。
「すわいしょう、今日はちょっとしかしないけど、家では30分やってね」とのことでしたが、さすがにそこまでは(笑)
マッケンジー体操も紹介していました。ここにもマッケンジー仲間が(笑)
その後、八段錦という、太極拳の準備体操みたいなものをみんなでしました。
八段錦をyoutubeで検索すると、優雅な音楽付きでたくさんの動画がアップされています。
先生が教えてくださったのは、音楽もなく、もうちょっとスピードアップしたものでしたが、それほど回数をしていなくても、気が充実したのか、結構汗をかくことができました。すごくよかったです(^_^)
太極拳は、介護予防運動のテキストにも『おすすめです』と書いてありますから、機会があれば、初心者向きクラス(ここ重要(笑))に参加してみるといいと思います。
最後は立ったまま、先生の誘導で身体を緩めていきます。
マインドフルネスでいうところのボディスキャン、私のクラスでいうところのヨガニードラです。
立ったままでするのは初めてで、ちょっと難しかったのですが、利点が一つ。
絶対に眠らずにすむということです(笑)
眠ったら倒れます(笑)
相変わらず、セルフプラクティスでのボディスキャンでは、知らないうちに眠ってしまっていますから、これはいいです(笑)
終了後は質疑応答がありました。
Q.身体の力を抜くのが難しいです。
A.僕もまだ難しいです(笑) やろうとすることが大事です。
Q.覚えきれなかったのですが、どれをやったらいいですか?
A.覚えるんじゃなくて、実際にやって感じてもらうことが大事。あ、これ最初に言うべきことでした(笑)
すわいしょうでもいいですし、背伸び。ベッドに寝たまま1分間伸びるといいです。毎日やっていると日によって感じ方が違うことに気付けます。気付くというのが大事。
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心の専門家としての臨床心理士さん。
一般人の私から見たら、知識も豊富で、じーっとお話を傾聴できて、相談者本人の気付きを促しながら、問題解決に導いていくので、すごいなぁと思っていますが、医者から見たらそうでもないようで(^_^;)
でも、今の世の中には、心の調子を崩している人がたくさんいて、でも、お医者さんにかかっても治らない人もたくさんいます。
動機のよくわからない事件が多い昨今では、臨床心理士さんたちが重用されて然るべきだと思います。
こころの健康フォーラム、とてもお勉強になりました。
基調講演には100人くらいの人が(その道の方も含めて)、分科会は20人弱の参加でした。
偶然なことに、椅子ヨガのクラスの方と、スポーツクラブのクラスの方を発見し、お互いびっくり(^_^)
違う分科会ではペアワークも行われたそうです。
もともと想定していた参加人数が少なかったのか、いい内容なのにもったいないなぁと思いました。
私は利用しませんでしたが
・臨床心理士によるこころの健康相談(50分)
・弁護士による生活の法律相談(50分)
も、無料でした。 (※どちらも事前申し込み制)
毎年、この時期に行われているそうです。
また来年、参加できたらと思いますし、たくさんの方に知っていただけたらとも思いました。
パネル展示もよかったです(^_^)
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