今朝の奈良は16.1℃しかなくて、ヒヤッとした朝です。冷えを感じている方は、温かい飲み物でおなかの中から温めて、首回り、足首を冷やさないようにしましょう。
肩や首のコリが楽になるかもしれません(^_^)
第三部 漢方薬
医療用に使われる漢方の生薬は122種類。これを抽出、配合して作られるのが漢方薬です。
漢方薬と西洋薬の違い、どんなものかわかりますか?
違いは処方の考え方にあるのだそうです。
西洋薬・・・頭痛には頭の薬、胃痛には胃の薬、心臓の病気には心臓の薬(症状に対して薬を出すという対症療法)
漢方薬・・・症状の根本的な原因を探って、全体的に身体の不調を取り除くために処方するのだそう。処方されたもので全部治る場合もあるし、そうでないことも。どういうメカニズムで効いているのかわからないものもまだまだ多いので、科学的立証が必要。
「実際の効果は昔から知られている、2000年とか3000年使われている薬もある。人体実験の繰り返しみたいなもの。それを今の科学や医学で立証しているところ。」
4500年生き残ってきたヨガもまったく同じですね(^_^)
青木さやかさんが、漢方薬のトップメーカー、ツムラの工場を訪ねていました。
ここではさまざまな生薬の成分を分析し、効果のメカニズムを検証する研究がすすめられています。
認知機能の向上によい漢方薬
今、多くの研究者が注目している漢方薬があるそうです。
それは人参養栄湯(にんじんようえいとう)。
病後の体力低下、食欲低下、疲労感を改善するために使われてきた漢方薬なのですが、最近ではアルツハイマー型認知症にいいのではと研究が進んでいます。
ここで診療所の先生(専門は認知症)が登場します。
先生はこれまで、認知症による食欲低下の改善をなんとかしたいと考えていて、診療所では西洋薬の抗うつ剤で対応してきました。
副作用について考えたときに、安全に使えて効果も期待できるものとして人参養栄湯を試してみたのだそうです。
アルツハイマー型認知症の患者さん20人に12週間、人参養栄湯を飲み続けてもらいました。
すると、食事の量が平均で25%アップと目的達成。
それだけでなく、認知機能の検査の点数もアップ。
集中力が上がり、物事に打ち込める人も出てきたのだそうです。
ネズミちゃんの実験だと『人にもあてはまるのかなあ』と思ったりもしますが、サンプル数は少なくても人に試した結果なので、すごいなあと思います。
研究に参加した男性の妻のコメントでは
「(夫が)忘れているだろうなあと思っていることでも、覚えていることがありますね。今までだったら、何かしても2~3分経ったら忘れているだろうと思って、こっちも言いたいこと言って逃げちゃうんだけど、覚えていることありますね。」と(笑)
人参養栄湯で認知機能が改善するメカニズム
脳は神経細胞の集まりです。信号が行き交うことによって情報が伝えられます。
通り道である軸索にはミエリンという物質が巻きつき、信号をスムーズに伝える役割をしています。
アルツハイマー病で認知機能が衰える原因のひとつに、ミエリンの減少が考えられています。
人参養栄湯はミエリンの減少を防ぎ、再生させる働きがあり、認知機能の改善に役に立っているのではないかと。
これからも研究は続いていくのだそうです。
寿命を延ばす漢方薬
六君子湯(りっくんしとう)という8種類の生薬を使った漢方薬があります。割とポピュラーなものです。
一般的には胃の調子を整える漢方薬として使われています。
高齢のマウスの寿命にどう働くかの実験をしました。
六君子湯飲まない群→ 生存期間は10~540日
六君子湯飲んだ群→ 生存期間は100~600日
中央値の比較ですが95日、寿命が延長されたことになります。
六君子湯を与えたマウスは、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が活発に働いていました。
サーチュイン遺伝子が働くと、傷ついた細胞を修復したり、細胞が活動するエネルギーを作り出したりと、老化を防ぐ効果があるらしいのです。
人に当てはまるのかどうか期待しているそうなのですが、まだまだ研究が始まったばかりという感じでした。
科学で解明が進む漢方薬の力
身体全体の不調を取り除く漢方薬は、医者による見立てがとても大事です。
漢方では患者の状態を「証」と言います。
証の見極め
風邪1つとっても、病気への抵抗力の強弱を判断する「虚・実」、病気に対する身体の反応で判断する「陰・陽」があります。
寒気が出ていれば陰、高熱が出ていれば陽と判断します。
数十種類に及ぶ患者さんの証を見極め、証によって処方薬が変わります。
証の見極めには、問診だけでなく、脈診、おなかの張り、舌診など患者さんの全身をくまなく調べます。
そして、書物からの知識や経験から証の見極めを行います。
しかしそれは、とても難しいらしいのです。
先生も「100%というのはむずかしい」とおっしゃっていました。
そこである研究を始めました。
受診2回目から、来院して受付が終わった後、ある機械に診察券を入れ、画面に出てくる質問に答える形で、今の自覚症状を患者本人が入力するというシステムです。
処方した漢方薬が、見立て通りに効いたのかデータを蓄積。
伝承や経験に頼らず、より高い精度で証を見極める仕組みを作りたいと考えています。
これまでに2万人のデータ集まり、分析が進んでいるのだそうです。
どういった症状や診察初見があれば、この漢方薬が有効なのかを客観的に評価できるように、それに役立てたい。
漢方治療の処方のエビデンス(根拠)を上げていければと先生は思っているのだそうです。
次の記事はお灸。このシリーズの最後です。
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私も酷いアトピー性皮膚炎だった時期がありました。
小学校低学年のときです。
初めは皮膚科に通い、処方された塗り薬を塗っていましたが、あまり効果が出なかったようです。
掻いてはいけないと言われていても、猛烈にかゆいので掻いてしまって親にも怒られたり、夜もかゆみで眠れませんでした。
住まいの近くに漢方薬局があったので、そこで漢方薬を処方してもらったことで治りました。
アトピー痕の黒ずみなども残らず、すっかり綺麗です。
この番組を見て、証の見極めは簡単ではないということを知りました。
また、私の状態を上手く見極めて下さる漢方医に出会えたことに、ありがたさと運のよさも感じました。
私が東洋医学に興味を持ち続けているのは、実際に自分が漢方薬に助けられたというベースがあるからのように思います(^_^)
科学的検証が進み、持っている症状でお困りの方が東洋医学で楽になれたらいいですね。
漢方薬はゆっくり効くものが多いのですが、風邪のひき始めによい葛根湯は1服か2服で効きますから、ぜひお試しください(^_^)