今日もよい日

ストレスのお薬としてのヨガ。お医者さんたちも、ヨガと瞑想に注目しています。

10月の追善公演(昼)を観ました(歌舞伎座)

 

 

勘三郎さんが亡くなって、もう6年が経とうとしていて、今年の12月で7回忌なのだそうです。

 

 

6年前のその日の朝、家でテレビを見ていましたら、勘三郎さんの訃報のニュースが。

 

その頃の私は歌舞伎には全く興味がなくて、でも歌舞伎以外でも幅広く活躍していた勘三郎さんのことは、お名前とお顔は知っていたのでした。

 

たまたま父とテレビを見ながら朝ごはんを食べていたのですが、父が「早いなあ。逝ってしまったか…。」と話していたことを思い出します。

 

 

そんな私も歌舞伎3年生になりました(笑)

 

なぜだか涼しげな七之助さんのお顔を好きになって、シネマ歌舞伎阿弖流為)を観たのがきっかけです。

 

 

今月の歌舞伎座勘三郎さんの追善公演を観てきました。

 

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三人吉三巴白浪(さんにんきちさ ともえのしらなみ)

 

お嬢吉三を七之助さん、お坊吉三を坂東巳之助さん、和尚吉三を中村獅童さんが演じていました。

 

今回の演目は、三人の数奇な出会いの場面のみです。

今回も、鶴松さんがお金奪われて、川に突き落とされてる(^_^;)

 

巳之助さんは坂東三津五郎さんの息子さんで、お父さんもお坊吉三をされたことがあるそうです。

 

私はシネマ歌舞伎で、お嬢七之助さん、お坊尾上松也さん、和尚勘九郎さんという配役で観ていたので、このお話の筋はなんとなくわかっていました。

 

獅童さんはとても安定しているなあと思いましたし、巳之助さんの声はとても素敵。お化粧をするとお父さんに似ているように思います。

 

 

七之助さんは言うことなし(笑)

 

なよなよしたお嬢さんから、本当の性別である男に切り替えてから(下品な言い方すると、女装男の強盗野郎(笑))のきりっとした感じが素敵だなあと思いました。

 

残念だなあと思うのは、七之助さん演じるお嬢吉三が正体ばれて、女性の姿のまま男性の話し方に変わるところ。

どうして客席に笑いが起こるのかなあと思いました(^_^;)

 

でもこの演目、川のほとりで出会う場面だけ(27分間)なので、なんだか消化不良な感じに(笑)

 

 

 

大江山酒呑童子(おおえやま しゅてんどうじ)

 

イヤホンガイドを借りて聴いていましたら、幕が開く前の放送で「歌舞伎座でやってみたかった」と勘九郎さんがおっしゃっていました。

 

中村屋ゆかりの演目で、あまり上演されないそうで(昭和38年初演から10回だけ、ちなみに三人吉三は今回のを入れて60回)、『あれ、勘九郎さんの、どっかで観たことあるんだけどなぁ』と思ったら、去年の12月にロームシアター(京都)で観ていたのでした。

レアな演目とは知らなかったです。

 

源頼光役の中村扇雀さんが踊っているのですが、舞台上中央では、勘九郎さんのお酒の飲みっぷりと表情から目が離せないので、扇雀さんの踊りに目を向けることができません(^_^;)

 

子どもなのにお酒が好きというのもあれですが(笑)

 

鶴松さんが立役(酒呑童子を討つ家来)しているのを見るのは、連獅子と阿弖流為しか観たことなくて、たぶん3度目です。

女の子の役の方が似合う気も(笑)

 

 

勘九郎さんの舞踊は力強さもあるのですが、ふわっと高く飛び上がって、音もなくふわっと着地するという、ヨガでいうところのジャンプバックみたいなスゴ技を持っていたのです。身体能力が高いのと、精進の賜物なのだろうなあ。

 

飛んだ後、膝を舞台に打ち付けて派手に音を鳴らしたりしていますが、お膝は大丈夫なのかなあといつも心配になります。

 

 

勘九郎さんを舞台の上で見るのはものすごく久し振りな感じがしました。

大河ドラマがあって、今年は歌舞伎のお仕事を減らしているからです。

 

大河ドラマではマラソンランナーの役をなさるそうで、肉体改造をしたと聞いていて、歌舞伎で踊る筋肉を失ってしまったのではないかなどと思っていたのですが、杞憂でした。すごい。

 

 

酒呑童子の冒頭、勘九郎さんは花道のスッポンから現れます。

 

子どもらしい表情で、しばらく月を仰ぎ見るのですが、その時のお顔が七之助さんのお顔でした。

 

兄弟似てないなあとずっと思っていたので、七之助さんに見えたことに、私は驚いたのでした。

 

 

 

佐倉義民伝(さくらぎみんでん)

 

松本白鸚(前 幸四郎)さんと七之助さんが夫婦の演目です。

 

温かみと優しさのある夫 宗吾と、かいがいしく世話する妻 おさん、かわいく利発で優しい4人の子どもたちが登場します。

 

江戸から久し振りに家に帰ってきた宗吾。家族はそれを大喜び。

 

家族みんながそれぞれを思い遣っている場面が続きます。

七之助さんもよい奥さんで、よい母親です。

 

七之助さんが、犬のおもちゃで遊ぶ3番目の子供にかけるまなざしや、声色は、本当に優しい母親。心があったかくなりました。

 

 

宗吾は、故郷(いまの千葉県佐倉市)を守るために、江戸の殿様(勘九郎さん)に直訴をしに行くことにするのですが、これは当時ご法度なことで、死を覚悟しての旅の出です。死ぬ前に家族に一目会いに帰ってきたのでした。

 

旅立つとき、下の子たちが「おみやげ持って帰ってきてね」と送り出すのに対し、妻 おさんと一番上の子だけは、宗吾が死ぬ覚悟で出掛けることを勘付いています。上の子だけは宗吾を引き止めようとします。

 

このやり取りが、もう、涙なしでは見られないのです。

 

舞台上の七之助さんも本当に涙を流しています。

妻 おさんに成りきってのこの辛い気持ちを、10月中、毎日感じて涙を流しているのでしょうか…。

 

他にも役がありますから、切り替えは上手なのでしょうけど、心が持つのかしらと思いました。

 

 

白鸚さんと七之助さんが夫婦役というのを初めて見ましたが、ベテランと組むことで、ググッと引き上げてもらえるというか、七之助さんにも年齢以上の貫禄があるようにも感じました(眉なしお歯黒なのもあるけど(笑))。

 

ベテランと組めるのは、上達するのにきっとよいことなのだろうなあと思いました。お父さんのおかげなのでしょうが、如何せん、あちらの世界に逝くのが早過ぎます。

 

 

夜の部は別の記事に書きます。

 

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