[大江戸りびんぐでっど] は、宮藤官九郎さんが脚本を書きおろした新しい歌舞伎の演目です。
歌舞伎座建て替え前の「歌舞伎座さよなら公演」で上演されたものがシネマ歌舞伎として上映されています。(関西では8/17金曜日まで)
私はたいてい、映画を観る時は一人で行きます。
もし、この作品を観に、誰かを誘って行っていたとしたら。
上映終了後に一緒に行ってくれた人に「ごめんなさいっ!」って謝って、映画代+ランチ代+お茶代 を出さないと許してもらえない、そんな気持ちになるような作品でした(^_^;)
もやもやしてても仕方ないので、よかったところを書こうと思います(笑)
冒頭の浜の場面
くさや兄弟(染五郎さんと亀蔵さん)と お葉(七之助さん)の絡みがおもしろかったです。(9年くらい前の演目ですが、七之助さんはすでに立派な美人です(^_^))
この映画で素直に笑えたのはこの場面だけ。ここから先、お話が進んでいくにつれて、心の中にずーんと何かが重くかたまりとなって溜まっていくので、あちこちにちりばめられている小さな笑いどころでも、素直に笑えなくなるのでした(^_^;)
勘九郎さんのマイケル・ジャクソンみたいなダンス
ものすごいキレでした(笑)
でもここ、歌舞伎座の舞台の上だし、大工の役なのにマイケル(笑)
身体能力の高さがよくわかります。
場内からも「ほぉー」という感嘆の声が聞こえました(笑)
七之助さんのダンス(笑)
このシーンなのですが。
(※ 音にご注意ください)
この動画は七之助さんが21歳くらいのときに、宮藤官九郎さんが監督として初めて撮った映画、[真夜中の弥次さん喜多さん] のオープニングです。
この動画の1分あたりまで、TOKIOの長瀬さんとかっこよくダンスをしているのですが、この振付を覚えるのに、七之助さんはものすごく苦労したんだそうです。ダンスはとても苦手のよう。
そのエピソードが頭にあったので、ゾンビと一緒に踊るシーンになったとき『ちゃんと踊れるのかな(^_^;) 』とドキドキしていましたが、とてもよくできていました(笑)
今はもういない 勘三郎さんと三津五郎さん、療養中の福助さんを観ることができる
私は歌舞伎3年生なので、このお三人を生で観たことはないのです。
(福助さんは近々復帰なさるそうなので楽しみなのです(^_^))
三津五郎さんは前半のコミカルな場面で出てくるのですが、面白いだけでなく、なんといいますか、こうしっかりしているというか、存在感があるというか、ふざけている中でも歌舞伎らしいというか。(うまく書けません(^_^;) )
勘三郎さんは、後半、すごいです。
物語前半の歌舞伎エッセンスの少ないお芝居を、圧倒的な力で歌舞伎にしていく。すごいとしか言いようがないです。生の舞台を観てみたかったです。
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私は、下調べ(ネット上の感想など)なくこの作品を観に行ったのですが、調べていたら観に行かなかったかもなあと思いました(^_^;)
それは、映画を観て家に帰ってから、いろいろと感想を検索していたら、賛否両論あったからです。
この2017年9月のイベントについて書かれた記事の8段目に
宮藤は、「『天日坊』を勘三郎さんに褒めていただいたとき、これでリベンジできました と言ったら叱られました。あれはあれで最高だと思っているんだから、そんなこと言うなと。うれしかったですね」 とあります。
(※ [天日坊] は原作が150年くらい前に書かれています。宮藤官九郎さんが再び脚本を書いて、 [りびんぐでっど] から1年半後の2012年6月にコクーン歌舞伎として上演されました。勘三郎さんのご逝去はこの半年後のことでした。)
この舞台を観たいろんな人が、よかった/悪かったを述べていて、問題提起(歌舞伎らしさのあるなしとか、社会的差別のお話とか)としては大成功だったと思いますが、宮藤官九郎さん自身は、失敗だったと捉えていたようです。
勘三郎さんの言葉で救われたようですが。
いろんなシネマ歌舞伎を観ましたが、上映終了後にみんなが一言も声を出さず、沈黙を保ったまま部屋を出て行く、という作品は初めてかもしれません(笑)
これを普通に歌舞伎座で観たとしたら、「チケット代返して(涙)」と思ったことでしょう(笑)