マハーバーラタ
ヨガをまじめにお勉強し始めると、必ずと言っていいほど学ぶ聖典に
『バカヴァット・ギーター』というお話しがあります。
そのバカヴァット・ギーターが収められているのが『マハーバーラタ』。
私のヨガの学校でも、この聖典の一部である「若い行者と肉屋の男」というお話を勉強しました。
ダルマやカルマの教材として、とてもわかりやすいものでした。
『マハーバーラタ』はインド思想のベースになっている、哲学的なことや、神話的なものがちりばめられていて、長すぎて日本語訳が未だに終わってないくらい、長い長い聖典です。
1500年以上も前に記された、古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』を歌舞伎化、と聞いたら、観に行かないわけにはいきません(^_^)/
千穐楽に観てきました。
実際に観てみて
インド哲学のエッセンスが一滴くらい入っているインド風お芝居なんだろうなぁと勝手に思い込んでいましたが、
なかなかどうして!!
マハーバーラタ戦記の主人公カルナは、神様と人間の間に生まれた子供。
世界から争いをなくすために奮闘します。
これがカルナのダルマ。
ちゃんと ダルマ(生まれてきた目的) 、カルマ(行為の結果) 、輪廻転生、執着を持たない、 などがベースにあり、悩んだり迷ったりしたときは、内なる神の声を聴く、も含まれていました。
かといって、つまらないお話しではなくて、4時間超のお芝居でしたが、私は、頭の中にあるヨガでお勉強したあれこれと照らし合わせたり、ここはアレンジしてあるんだなーと思いながら、楽しく観ることができました。
今回の歌舞伎の主役カルナは、バカヴァット・ギーターでの主人公(アルジュラ)の敵の役にあたるですが、敵の役にスポットを当てると、物語のイメージがずいぶん変わるものなのだなぁと感心しました。
インド大使館も後援してくれているとのことで、歌舞伎座の中にも普段見掛けないインドの方々を見掛けました。
インドの人から観たら、このお芝居はどう映ったのでしょう。
『ここを端折ったらダメでしょう(^_^;) 』と思うところもあったかと思いますが、わかりやすい立ち回りや、アイスブレイクになるような愉快な場面もあったので、楽しんでくださっていたらいいなと思いました。
七之助さん
私の大好きな七之助さんはカルナとともに闘う、悪い妖女ヅルヨーダを演じていました。
正義の人カルナが、なぜ悪い人と行動するのかは話しが長くなるので省略します(^_^;)
ヅルヨーダは主役よりも出ずっぱりの、とても目立つ役でした(^_^)
主役カルナ(尾上菊之助さん)は太陽のような明るさとまっすぐさを持っている人なのですが、ドゥルヨーダはそれと対比するような暗さや悪さ、そして太陽に憧れる月のような役どころでした。
妖女の笑顔ひとつとっても、いろいろな表情があり、その悪さにときめいてしまいました(^_^;)
激しい立ち回りのシーンがあったり、最期は階段から転げ落ちるシーンも(>_<)
普段はおしとやかなお姫さまや、遊郭の女の人を演じているのを見慣れているので、階段をゴロゴロと落ちるところでは心の中で『ギャー!そんなことして大丈夫なの??』と(^_^;)
歌舞伎でこんなにドキドキしたのは、阿弖流為以来かもしれません(^_^;)
マハーバーラタ戦記、とてもいい演目だったなあと思います。
あれだけの長い物語を、きちんとまとめていること、素晴らしい衣装と音楽。
楽器は、歌舞伎で使われることのない木琴や鉄琴、サントゥール、シンギングボウルまでが登場していて、そちらの方も気になっていました(笑)
いいものを観ることができました。
ありがたいことです。
せっかくの素晴らしい演目だったので、シネマ歌舞伎になって、ヨガをする人もしない人も、いろいろな人にも観ていただきたいなと思いました。
おまけ
ヨガの哲学をお勉強する人は必ず習う、
バカヴァット・ギーターの教えをかいておきます。
自分が今置かれている境遇は天の計らいであり
今しなければいけないこと、今できることを
結果を恐れることなく、とにかく実行しなさい
実行した結果には執着せずに
結果は神様に委ねなさい